『ホトトギスとルリタテハ』開花・食草・初秋の自然・写真

この時期、地植えも鉢植えも「ホトトギス」が元気だ。鳥類のホトトギスではなく、あの山野草のユリ科の「ホトトギス」である。可憐で、「自然の妙」という言葉がぴったりの形状の花を、次から次へと開花させる。

「ホトトギス」は全国の山に自生するが比較的陽光を遮る山林の中や、終日陽の当たりにくい斜面等に群となって自生する。極度の乾燥や太陽の強光線には比較的弱い。

CA3H0123

CA3H0122

小家の物は鉢植えもあるが、地面にランナーを伸ばして増えるためか、殆どは毎年真夏の強光線で葉焼けする。ひどい年には乾燥の進む場所のものは何十株という単位で枯れる。しかし二三年すると再び勢力を拡大し、復活する。

成長の早い株は、盛夏に花芽が見え始め8月に咲く。大抵は9月に入ると一斉に競い合うように花が咲く。その頃の群生は、その紫を基調とした上品な色合いに感嘆するものだ。

一つの花茎から約10輪ほど次から次へと咲いていく。園芸品種や白花といった希少種もあり、花の模様や色合いも個体差が大きく、栽培していて飽きの来ない優秀な園芸山野草であろう。

冬には茎や葉は全て枯れてしまうが、根で越冬する。越冬中の春先に株分けすると増やしやすいのも愛好者が多い所以であろうか。

花に見とれていると時折、葉に虫食いを発見したり、花がどんどん毎日のように無くなっていくのに気がつくことがある。そんな時に更に良く注意し、顔を地面に近づけ葉の裏などを観察すると、奇妙で、人によっては身の毛がよだつような色合いと形の幼虫を見つけることがある。

CA3H0140

CA3H0103

まるで、イラガの幼虫のような毒針然とした突起に覆われた毛虫なのである。それが、成虫の美しさとは似ても似付かぬ「ルリタテハ」の幼虫である。

CA3H0145

とても触れようという気にはなれない人の方が多いとは思うが、この棘のような突起物は実は毒針でもなく、稀に刺さることはあるが実害はない。天敵を脅す目的と、万が一落下した時などの緩衝材の役割を兼ねている。

CA3H0102

CA3H0101

当然、蝶の幼虫であるから脱皮しつつ齢を重ねていく、その度微妙に色が変わるのも芸術的という言葉が当てはまるような気がする。個人的には三齢位の頃の黄色を基調とした変化に富む色合いが好きだ。

CA3H0146

蛹には、他のタテハチョウ同様、鍍金を施したような金属光沢の斑点が見られる。一箇所の部分だけでブラブラとぶら下がった蛹のこの金属色を発見したときの驚嘆は中々のものだ。

さて、タイトルの食草ということについて話を変える。幼齢のうちは当然食草として食い続けても食い進むのは少しであるが、やはり成長とともに株全体の葉や花を食い果てるようになる。そうなると無残なもので、ホトトギスは丸裸にされてしまう。救いは、群生するので大株になるとルリタテハの幼虫の数にもよるが中々一見しては判らない程度の被害で済む。

CA3H0085

CA3H0095

CA3H0141

CA3H0143

CA3H0142

夜も昼も食い続けるので、懐中電灯等があれば、天敵の少ない夜間の方が観察には適していると感じている。但し、夜この幼虫を見るとやはり厳つく気持ちの悪いものである。

CA3H0145

CA3H0097

この時期、ルリタテハの来る、そしてホトトギスを育てておられる方は一度探して見られてはいかがかと考える。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク