■四国の骨董市■『徳島びっくり日曜市』■色々なお客

前回は「徳島びっくり市」の新規出店参加の方法について簡単に述べた。今回は視点を変え、訪れるお客の傾向について述べる。

筆者は骨董品を主体に販売している。所謂露天の骨董商である。露天で物を売る為には毎回商品を運び、並べ、そして終了時は再び梱包し、積み込む。出店場所に極力多くの種類の商品を並べ、その上選んでいただけるよう数も揃えなければいけない。そうなってくると遠路はるばる海を渡り参加する者としては自然大きさの小さな物を選ぶ事になる。

小さな商品は管理にリスクが伴う。初出店の際、先輩業者から「ここの市は商品管理に気をつけるように・・・。」と教わった。どこの市でもそうだが最近は早朝暗いうちから掘り出し物を見つけようと、まだまだこちらが並べている最中から勝手に箱を開け、商品を物色する者たちが居る。何も言わないで居るとそれを見た他の者も同様の行動をし、文字通り人がたかる、という状況になる。そうなってしまっては手遅れで、商品が無くなることは当然起こりうる。掘り出し物を見つけ、本国へ送り高く売ろうとする外国人も多いのである。

そうかと思えば、何度も何度も、というより一日中行ったり来たり「我がいない間にまた新しい物が並んでいるかもしれない。」と考え頻繁に再訪してくれるお客もいる。また居心地がいいのか、いつまでも商品を触り続ける者もいる。座り込んで小さい商品を選び出すと半時間近く居座る人もいるので、ずっと行動に目を光らせ続けることもできない。小さな商品を並べるということはリスクが高い事である。

しかし、信用できるお客になると、毎回訪問してくれ、色々助言をくれ、そして出店者に代わって客寄せをしてくれ、商品を宣伝してくれる人もいる。ありがたく、そして毎回何かしら購入してくれるというのは常連というより固定のお客ということになろうか。信用と信頼が取り持つ良縁が増えると心強く嬉しいものだ。

ちょっと変わった訪問者としては、自身のコレクションや自慢品を、こちらの商品を見て売りつけに来る人たちである。こちらの並べている商品を見て「こんなの、うちにも有るわ。捨てようと思ってた。」と言うようなのは大概がおばさんである。「だったら引き取りますよ、いくらかで・・・。」と言うと返事もせずどこかに消える。そのような連中はまだいい。始末の悪いのは自身が誤って入手した偽物を売りつけに来る輩である。よほど注意するか、こちらの目が肥えていないと断り文句が出ない。

ある時、未発行や試作の貨幣を10枚ほど売り込みに来た若者がいた。一ヵ月後に結論を出しておく旨言って、もう来ないだろうと思っていたらよく覚えていて本当に次月同じ物を持ってこちらに来た。有り得ないほどの安い金額を提示し、それなら引き取ってもいいと言うと、一つ一つの個別の品について薀蓄を述べだす。薀蓄はいいので、「我々はコレクターではないし、その商品が売れるか売れないか、そして、利ざやを残さないといけないのでこちらが提示した金額でしか買えない。」というと再び商品について薀蓄を述べだす。この一ヶ月間恐らく同様に他の業者を回り、それでも売れなかった代物だろうと見極めこちらも居直る。極めつけは「あなたは売りたいんでしょう。私は別に買いたくもないし、買う必要もない。」と更に桁違いの低価格を提示し、終にその若者は悩んだ挙句了解した。

確かに手放す際非常に惜しそうであったが、それは彼の収集した際の金額が高すぎたのだろう。それらの商品はすでに他の貨幣商に話はつけてあったので、そのまま横流しで当方としてはいくらかの利益は出た。

このエピソードは、商品について知識のない物には手を出さない。雑多な沢山の種類の商品知識と、駆け引きの経験を積まないといけないという向学心にもつながり、いい勉強になった。

都会部のように普遍的な商品で満たされることなく、地元に根ざした商品以外は中々並べられることが少ない地方の市は皆同じなのだと再確認できた。その学習成果を今後とも更に挙げて行きたいし、ステップにしていきたい。

また次回は売れ筋骨董品と銘打って投稿していこうと考える。お楽しみあれ!!

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