●南信州の催事●『深見の祇園祭』

『深見の祇園祭』(長野県下伊那郡阿南町深見)

例年7月第4土曜は必ず南信州に居る。花火の一大産地であるこの地方はこの時期週末平日を問わず事あるたびに花火が打ち上げられ、近年は過疎や高齢化、兼業農家が増えた事もあり週末を利用して催される祭事神事がめっきり多くなった。関東や関西、そして東海の友人達が楽しみにしているその時期、その案内を兼ね、山間の小集落で催行されるこの祭を逃さず訪問している。

訪れる観光客は年々増えてきたが他の大規模な花火大会に比べるとまだまだ小規模で、その分地元の衆に混じって存分に楽しめる神事の一環としての花火は、その地形と相まって一押しの迫力であることは間違いないと感じている。年によっては周辺の地域で4、5箇所の花火の打ち上げがあるが、是非訪問し、鑑賞していただきたい。

『深見池』。周囲700mの龍神が棲むと言われているこの小さな農業用のため池で、目前の湖畔3ヶ所から打ち上げられる花火は、スターマインや打ち上げ花火、ナイアガラの滝も圧巻だが、クライマックスを飾る水中スターマインでその完成は絶叫に変わる。湖面で連続して破裂する花火の大音響と共に、その火の粉が頭上を通り越し、時には観客の中に飛び込んでくる。擂鉢状の地形も相まって周囲の山々にこだまする爆発音は他ではなかなか聞けない迫力である。

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湖畔での打ち上げ終了後、山の中腹にある神社境内に移動し、大三国を中心とした仕掛け花火を鑑賞する。これも圧巻である。数年前から事故防止の為境内に張られる導火線の面積は半減し、手筒花火も立てかけ式に改められたが、ここでも大三国のクライマックスはその美しさと他では見られない近距離からの鑑賞だ。時に暴発し、時に火が消え、そしてその都度何かが起こる。暴発の瞬間は、最前列に座している人々の中にはその爆発音に驚き、後ろにひっくり返る人々も居る。この迫力は記事や口頭ではとても伝えきれない。百聞は一見にしかず、一度現地に赴き、是非鑑賞いただきたい。

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最後になったが、この集落も含めここ南信州でも、催行される寺社の花火はその住民達の神聖なる信仰の行事の一つである。昨今目に余る、団体での撮影だけが目的の不謹慎な行動は慎み、深く歴史と信仰を味わっていきたいものである。

(『深見の祇園祭』についての「感想」を中心とした記事にさせていただいたので、深見池や諏訪神社、津島神社、それに地域の詳細については別途検索頂ければ幸甚である。)

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