●神戸の名所●『兵庫県神戸護国神社』骨董市・蚤の市

神社仏閣を以って「名所」ということ自体少し疑問がよぎるが、昨今は「世界遺産」ブームとやらの影響か、古都奈良や京都の古刹自体が「名所」と呼ばれ、その訪問者の殆どが檀家や信者ではなく観光客という現実から、「名所」と表現しても問題なさそうかと独断、以下に兵庫県神戸護国神社を紹介しよう。

兵庫県には護国神社が二箇所ある。その内灘区鎮座の方が神戸護国神社である。この神社は当然のこと、戦没者を主祭神として祀られている。そして、その境内では毎月第4日曜日には骨董市が開かれる。

実はこの夏以降、二回ほど出店した。骨董品や掘り出し物探しの訪問者としてのブログや案内はネット上でも散見されるが、商品を並べる立場として益々の繁盛を期待するため少し他とは違った視点で紹介しよう。

朝6時。拝殿前の広場では既に10程の出展者が到着し、陣取る。目の前に迫る六甲山を見上げながら、皆「今日の天候はどうだろう?」的な談義がなされている。他所の市とは変わらない光景ではあるが、ここの出店者達はなにかのんびりしていて、なかなか商品を展示しない者が多い。会主は大抵皆より遅れて来場する。

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その間、戦没者の遺骨収容活動に参加する筆者は先に本殿にて拝礼を済ませる。「今日も霊前で商いをさせていただきます。よろしくお願いいたします。」という具合に・・。護国の英霊に対しけじめと考え、帰る際にも、挨拶や無事終了のお礼を述べ拝礼する。

この市は何年か以前はかなり多くの出店業者数だったらしいが、今では20余りという、広さの割には出店参加数の少ない広々とした雰囲気の市である。傾斜地の境内ゆえ、県道に面した道路から拝殿にいたる間に階段があり、その下の方と拝殿前の上の方の出店料が違うのは、車乗り入れの可否であり、下の方での出店者はその多くが骨董品ではなく、野菜や古着や手工芸品などを販売している。

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中でも他の市とは違う大きな特徴は、地元神戸大学生による「チンドン屋」が出ることである。金管、木管、弦楽器等の演奏をしながら一定時間ごとに市を賑わせてくれる。

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客足は?というと、これは恐ろしくお客の少ない「市」で、殆どの出店者は常連のお客を掴んでおり、その常連のお客たるや目の肥えた方が多く関西という土地柄もあってかかなり値切りはきつい。

護国神社としての戦没者ご遺族の参拝は少なく、どうやらお客の大半は、市での掘り出し物探しの常連者と若干の外国人居留者、それに僅かに中国系のバイヤーがいる程度である。古民具、刀剣、古銭、文房四寶、玉器、中国骨董、金銀貴金属などはここでも比較的彼らのターゲットになっているようだ。

このような状態にもかかわらず、出店者は四国の徳島や京都、大阪、泉州など、かなり遠くから参加しているようである。ガソリン代、高速道路代、出店料、そして商品運搬のリスクも考えると日当も出ないような気がするのだが。

このブログを読まれて、一度見に行ってみようと考えられる方が居られればそれは正解。何故ならば、出店する方の立場で申し上げると、「出店料くらいは回収しないと帰れない」という心理が働き、どの業者も値切らずとも結構提示価格を下げるからである。業者間でもお互いに売り買いがなされているところからもそのことは間違いないと感じている。

公共交通機関で来場するのは六甲駅あたりから緩い上り坂を歩かねばならず、少し面倒な場所ではあるが、広くてゆっくり見れて静かで、格安で色々なジャンルの出店者が居り、たまにはチンドン屋の演奏も聴ける。なかなかいい市かもしれない。

大概は夕方まで開催されているので、一度お出かけされては如何?

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