●北摂の名所●『多田銀山』秀吉埋蔵金廃坑兵庫猪名川町

ロマンいっぱいの埋蔵金秘話のある「多田銀山」、正確には「多田銀銅山」というべきか。実は筆者の自宅至近である。

昭和の終わりごろ、まだ日本の国が高度経済成長の流れがあった頃、地元では確かに埋蔵金の話は出ていた。良く「変わり者の男性がたった一人で埋蔵金探しをしているらしい。」と聞いた。

その頃は、現実に景気もまだ良かった頃で「何もまあ、出るかどうか分からない事に私財を投げ打ち、難破船でもあるまいしロマンに狂った変なおっさんがいるもんだな・・・。」という程度の感想であった。

今でこそ史跡として整備され、研究者仲間や中世史愛好団体が塊になって訪問するようになった現地だが、当時は鉱山として栄えていた頃の末裔の方々の小集落しかない現地へは、カブトムシやクワガタ採集マニア以外はまず訪問しない所であった。ちなみに少し話題は外れるが、周辺の川西市多田周辺から川辺郡猪名川町にかけては、山梨県韮崎地方と並びオオクワガタの日本の二大産地であった。

現在の銀山は1970年代半ばまで採掘されていたが、今ではその間歩(まぶ)と呼ばれる採掘坑の一部を木の杭等で補強し、また観光客も自由に入り観察できるように照明も取り付けられている。

近くには現在も住人が住む集落や鎮守の金山彦神社があり、銀山川に沿ったその集落の一部の家屋が保存され、採鉱華やかかりし頃の面影はないが、主だった建物については表示板等で詳しい説明もなされている。

また、集落から少しはなれたところに、行政による資料館や案内所、さらには駐車場や精錬所跡も公開されており、ハイキングコースとしてもお勧めの場所である。目下近くを走ることになる新名神高速道路の建設現場に近いが、この銀山の周辺は未だ関西の里山の風情をかなり色濃く残している。

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最近の史跡や文化遺産ブームにありがちな商業的な拝金主義は感じられず、駐車料金はおろか間歩への入坑料も徴収されず、それでいて充分にロマン溢れる歴史を学ぶことが出来、気楽に周辺の環境を楽しみながら散策できることは、管理する猪名川町や兵庫県の気概と善意を感じ取れることができる。

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最寄の交通機関としては能勢電鉄日生中央駅(大阪梅田から阪急電車より乗り継ぎ約1時間)と考えるが、バイクや自動車の場合は川西方面からはかなり道も整備されており、これからの紅葉シーズン、是非行かれる事をお奨めする。

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