『全国戦没者追悼式』平成28年度・日本武道館

戦没者遺骨収集事業に参加している身として、毎年8月15日に日本武道館にて挙行される「全国戦没者追悼式」にその時々の総理から招待を受けるのは感激の極みである。天皇皇后両陛下の行幸啓を賜り、両陛下と同じ空間にて、祖国の繁栄と安寧の為その貴い命を捧げられた方々の御霊に慰霊の誠を誓えるは、この上もなくありがたい事であると感じている。今年も参列する機会を得たのでその様子を簡単に紹介させていただく。

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今年は、私事輻輳が予定され、直前まで参加が決定できなかった。年に一度という事もあり、遠隔ではあるが思い切って上京した。上京途上交通事故に巻き込まれるというハプニングもあったが、無事15日の早朝東京に到着。事前に靖国神社にお参りをした。例年同様、武道館や靖国神社周辺は多くの警官や機動隊が警備を強めていた。悲しいかな、今年もただ単に日本国旗を車に貼り付けているというだけで都度バリケードを閉められ、行き先や目的を問われている善良な一般の人が気の毒で、終戦記念日に天の英霊達はこの様子をどう感じておられるのだろうかと案じてしまう。ただ、警備の体制も年々進化してきたのか、右翼街宣車等の喧騒は以前に比べるとかなり緩和されたように感じた。

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午前10時半頃、会場の武道館に移動。開式は午前11時51分という事だが、既に武道館の内部は七割方埋まっていた。座席を確保し、知人に挨拶を済ませ、会場外の様子を窺うため何度か武道館の内外を往復。各都道府県遺族会の方々がそれぞれの幟を掲げ順次入館していく。皆様高齢の方が多く、この酷暑の東京の空気の中、整然と並び行進されている様子は、ご遺族という事もあり、選ばれた代表の方々とはいえある意味痛痛しくも感じる。

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開式宣言の後、冒頭天皇皇后両陛下がご臨席になられる。先日「おことば」を国民の前に語られた直後であるので、一段と神々しく感じられる。次に国歌斉唱。武道館内いっぱいに響き渡る君が代は、どこで聴くより大きく力づよい。内閣総理大臣の式辞の後、所定の位置にお立ちになられた両陛下と共に、正午の時報を合図に全員で黙祷を行う。おそらくこの瞬間の参列者全員の祈りは巨大な慰霊の意思となって英霊達に届けられたと信じる。私自身も、同じ日本人として、見ず知らずの戦没者の方々に対しその無念とご遺徳を想い、感謝と共に安らかなるご冥福を祈った。特化して遺骨収容事業に参加している硫黄島の御霊にも、本島だけではなく周辺海域、監獄岩にてなくなられた全ての勇士に想いを馳せさせていただいた。遠方よりの移動の疲労が吹き飛ぶ瞬間であった。黙祷の後、天皇陛下がお言葉を述べられ、続いて来賓数名及び遺族代表が追悼の辞を述べる。特に遺族代表の言葉に感動するのは例年と同じだ。

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今年はハプニングと言えようか、両陛下がご退席になられる際、遺族席の一角からひときわ大きな声で、「天皇陛下、万歳!!」という声が発せられた。その声に歩を停められた天皇陛下が一瞬振り向かれた際、会場の別の場所からも男性の声で「天皇陛下、万歳!」と・・。それを機にどこからともなく数名の「万歳」の発声も。遂に会場中「万歳、万歳」の大合掌の中、両陛下をお見送りさせていただいた。この出来事で今年の追悼式典は非常に心に残るものになった。マスコミには報道されていないこのハプニングは、おそらく英霊の我々になせる技であったと考える。

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最後に献花が行われた。内閣総理大臣、遺族代表、青少年代表、来賓、地方公共団体代表並びに政党代表、歴代首相経験者等が献花し、最後に厚生労働大臣が花を献じ、閉式となった。

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会場より退場後、参列者は思い思いの方角へ向かったが、私は遺骨収容仲間達と共に再度靖国神社参拝に。参拝とはいえ、午前中とは違い今年も拝殿前から数百人の行列が出来ていたので、列の脇から遠方遥拝にさせていただいた。今年もお元気で自らご臨席になられた天皇皇后両陛下のご様子についても心の中で報告させていただいた。目には見えぬ英霊の御霊であっても、慰霊追悼の念は絶やさず生きていきたい。

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