●甲州の温泉●大月『日の出鉱泉』山梨

決して豪華ではなく広くもないが、安らぐのと、そのレトロさに惹かれ、営業していれば必ず利用させていただく温泉がある。

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甲州街道(国道20号線)を長野方面から進み、笹子トンネルを抜け約10キロ、よく見ていないと見落とすくらい小さな看板が出ている「日の出鉱泉」。東京川から来れば看板はない。国道の路面が一階の屋根と同じほどの高さの建物で、いつも満載の荷物が崩れるかとも思えるほどの傾斜の進入路を降りる。車は二三台しか駐車できないが、国道に面していない側がこの温泉の玄関口である。国道と笹子川の間の僅かな平地に隠れたように建っている。車を停めると、ある時はここで飼っている二羽の鶏の仲のいい姿に癒される。

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営業は昼間だけのようで、いつも電話で営業しているかどうかを確認してから伺うが、日によって開始時刻が違う。10時くらいの事もあれば11時半でもまだ湯が沸いていない事もあった。夕刻は17時までは入れるようである。

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玄関を開けると、いきなり昭和レトロの風情に圧倒される。往時は旅館だったようであるが今は日帰り入浴のみのようで、登山者やハイカーの利用が多いらしい。年季の入った木造の建屋で、変に落ち着く。

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引き戸のガラス障子に右から左へ書かれた「男湯」と「女湯」の文字。しかし、今は「女湯」の方しか使用していないので女湯の方を使うように言われるが、なんとなく気が引ける。夫婦やカップルの場合、時間短縮の為か余計なお世話か、真意は不明だが混浴で一緒に入って頂くとのこと。年頃の娘と来た場合、どんな対処をするのであろうか。余計な事も考える。

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浴室内に入ると更にかなりレトロで、部屋の下半分は総タイル張り。お決まりの富士山のタイル画も小さな物が嵌め込んである。脱衣場と浴室が同じ室内にあり、着替えの吸湿が気になるが、男湯との境界の壁が低く湿気は篭らないようだ。国道側に磨りガラスの大きな窓があるので室内はかなり明るい。シャワーと水洗蛇口は後付けのようで各1基づつ。何よりも特筆すべきは、室外の釜で薪を焚いているためお湯がかなり熱い事が多い。それが大の男二人入れば限度という程度の広さの浴槽でも、水で埋めるのには意外と時間がかかる。

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浴室外のトイレも木製の廊下の突き当りを曲がればあるが、これもかなりレトロである。色々な温泉に入ってきたが、ある意味すごくフレキシブルな感覚で入浴でき、古きよき時代を感じさせてくれる。

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入浴料金も関東からの客が中心の温泉の多い甲州街道沿いにしては廉価で、500円というのは、この手の詫び寂が好きな方には決して高くないと思う。そして何よりも女将さんの対応がすばらしい。嫌味な商売気質も感じさせず自然体で、近所の奥さんと話しているような安心感と素朴さが感じられる。

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高速道路ではなく、甲州街道を使って往復される方は、一度利用されてみてはどうか?驚くほど懐かしい気分になれる事、間違いなし!!の温泉である。

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