『C字龍』高山文化玉器

高山文化とは、中国西北方の、河北省北部、内モンゴル自治区、遼寧省西部に栄えた古代文化で、新石器時代、紀元前4,700年頃から同2,900年頃という長期間に存在した文化である。20世紀初めに日本人の学者によって発見され、1930年代に再び日本人により大規模な調査が実施され、その存在があきらかになった。「紅山文化」と命名されたのは戦後1954年。さほど古くはない。彩陶土器と玉石文化に眼を見張るところが大きいこの文化は、その独特の造形などからかなり高い芸術性を有し、現在の「風水」の起源を思い起こさせる。爾後も本ブログでは、順を追ってその造形を鑑賞すべく玉器中心に紹介して行きたい。

紅山文化玉器の特徴は何といっても「動物」や「神」といった対象物が多い。その中でも、とりわけ特徴的な造形は「神人」であり「龍」であろう。特に「龍」については富や収獲の象徴である「豚(猪)」と融合させた「猪龍」というものが印象的で代表的な物である。そしてもう一つが「C字龍」という物である。文字通り、ローマ字の「C」形に作成された高山文化の代表的な玉器である。

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おそらくこの「C字龍」は孔が穿たれているところから、紐を通し、首から提げた「珮(ハイ)」の一種であろう。また、紅山文化玉器に共通する曲線的な造形からも、首や胸など身体に直接佩用する物であったと思われる。いずれにしてもその造形はある意味異様で神秘的でもあり、併せて大小や玉質の違いにかかわらずほぼ全てが同じ形をしている。呪術的な意味合いがあったとも考えられる。今後の研究家の論説に興味が湧く。

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玉質については、紅山玉器は翡翠や青玉、そして蛇紋岩等、他の玉文化の遺物に比べると緑や青色系統の物が多いと感じているが、このC字龍についても同様、表面が長年の土沁や変質によって変色していても青玉系の物が多い。敢えていうとそれ以外の物はかなり少ないと感じている。

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ある意味現代的なC字龍。古代に想いを馳せながら鑑賞されたし。

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