『刀幣・尖首刀』中国古代貨幣について・春秋戦国・燕

古代中国、春秋戦国時代の地方貨である「刀幣」は、「刀泉」や「刀貨」とも呼ばれ、同時代の「布幣」と共に古代貨幣の代表的なものである。「刀幣」には「円首刀」「反首刀」「方首刀」等、時代や地域により何種類かあることは以前のブログで述べたが、今回は初めてご覧になる方でもイメージが湧く写真を掲載しつつ、簡単な紹介をさせていただく。

SN321648

SN321647

写真をご覧になって頂くと良く判ると思うが、刀の刃のように見える部分の先が尖っている。「反首刀」も「針首刀」なども同様に先は尖っているが、大きく反り返ったり針のように棒状に突き出しているという様なことはない。厚みも薄く、この時代、紀元前数世紀という時代の鋳造貨幣と考えると、その青銅器鋳造技術に感嘆せざるを得ない。

SN321649

SN321651

SN321655

またその美しいフォルムにも脱帽する。青銅製の武具や農耕具から発展し小型簡略化された流通貨幣としてのデフォルムにも、他の地域の「刀幣」同様、当時の大陸の美的感覚に感心する。あわせてその規格化と模造品製造防止の為の技術にも感嘆である。

SN321656

SN321654

SN321653

SN321659

円形銭の原型であるという話を良く聴く。刀幣の「柄」の部分の先の環部分の発展した物が「円銭」であるという説が正しいかどうかは別にして、取り扱いや運搬には便利な工夫であったとは考える。紐を通し、遠方まで数多く運びやすかった事は想像に余りある。もとより「刃物」ではないのでこれで充分用を満たした事に違いない。

SN321653

SN321650

SN321658

燕は、紀元前1100年ごろから紀元前220年ごろまで存在した大陸北方の国家で時代を経ると朝鮮半島まで支配し、首都は現在の北京周辺である。春秋十二列国の一つで、且つ戦国七雄の一つでもあり、その古代においての地位や国力は、秦に滅ぼされるまでかなりのものであった。当時の群雄割拠、戦乱の時代に名を馳せた国の貨幣として相当数鋳造されたようである。

SN321646

SN321646

「刀幣」の代表的な物として簡単に紹介させていただいた。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク