『青玉龍形珮』

 本品はその姿が誠に美しく、キリッとした造形の『珮(ハイ)』である。西周晩期頃の物と推測している。

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『珮』とは、「佩玉」のひとつで、身に着け佩用する玉である。古代においては貴人層が佩用しており、玉文化の進化した大陸では現在では庶民が身に着けていることも普通に見られる。その形状は千差万別で、佩用する為の紐を通す孔が穿ってあれば『璧』や『環』など特別な名称で呼ばれる物以外は、全て『珮』と呼ばれると言っても過言ではない。

古代においては、広い大陸の中の物流は現代のように活発ではなく、その地方ごとに産出される美しい玉がありそれぞれに特徴もある。また、時代ごとに人々の嗜好も変化してきており、特に古代においては碧玉が最も尊ばれ、次に白玉、そしてその他の黄玉、紅玉、青玉等が好まれた。勿論その中間の青白玉や斑玉も玉文化の中で大きなウエイトを占めた。今では新疆地方の和田玉の白玉のうち、羊脂玉と呼ばれるものが最上の玉質と言われ、北京オリンピックのメダルに嵌め込まれたという位珍重されている。即ち現在では、古代とは違って白玉が最上で、碧玉はその次に位置付けられるように変化してきた。それらは全て、東西交流が活発になった中世以降の事である。

今回は、この『青玉龍珮』を紹介し、大陸古代人の造形感覚を楽しんでいただこうと思う。

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SN320042

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SN320043

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SN320047

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最後になったが、本品の所々に見られる付着土が少し紅いのにお気付きであろうか?おそらく辰砂(朱い顔料に良く使われる水銀を含んだ鉱石)の成分を少し含んだ土である。この成分によって出土地域もある程度推測されるのであるが、残念ながら目下のところ不勉強でそこまでは判断できていない。

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