『双龍顔穀粒文璜』

『ソウリュウガンコクリュウモン コウ』

SN320048

「玉」偏に「黄」の旧字体で「コウ」と読む。新石器時代以降、貴人の佩用する数十の色々な形の小玉器からなる『佩玉』の一部分を占める玉器の名称で、大抵は弓なり、その中心上部と両端に紐を通す孔が穿けられている。その殆どが一式の『佩玉』の最上部に据えられている。本品は東周時代の物と思われる。出土地は不明である。

本品の特徴として、彫りが細かく非常に鮮明で磨耗も少ない事である。また、灰玉ではあるが、玉質はかなり均一のようで上質の玉で造られた物であると考える。

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両端にキリッとした顔を持つ龍。中心部分は、富の象徴である穀物を鏤めたように刻されており、玉の収集家でなくとも手元に置きたくなる品であろう。東周の時代と言えば紀元前770年から紀元前256年という約500年続いた王朝であり、既に農耕も進んでおりその時代の大陸人の願いが込められた事は間違いなく、同時代の他の玉器にも多用されるデザインである。

時代が下ればこの種の多数の小玉器から構成される佩用玉は少なくなってしまうが、この一つ一つが洗練された造形は漢代まで続くものと考え間違いない。

以下に掲載の写真でその素晴らしさを鑑賞されたい。

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