『中国上海・豫園商場』骨董品購入・案内紹介マル秘情報「蔵宝楼の一階」⑨

「蔵宝楼の案内」に暫く間が開いた。今回は一階の雰囲気の簡単な説明をしよう。

蔵宝楼の建物に入ることのできる入り口は、正面の「方濱中路」に面する前庭からの大きなガラス扉4枚分の入り口以外に、常時開いているのは西側面の二箇所。

その二箇所は隣の古い骨董雑居ビルの外壁と2メートル位の通路を隔てているだけで、そのビルから直接蔵宝楼へ入ろうとする人以外はまず通行が無い、言うなれば抜け道用の出入り口である。特に奥の一箇所は通常の観光客はまず利用しないであろう。

場合によっては危なく、またある場合には便利な空間でもある。気をつけなければ追剥に迫られたり、闇取引や闇両替の舞台、そして、排泄の場所にもなっている。蔵寶楼の建物内の厠は3階まで上がらないとないので、たまに利用されるようだ。

気をつけないと排泄物を踏むことになる。余談だが、大都会上海でもまだまだ排泄物を避けながら歩かないといけない地は至る所にあるので、できることなら足首は地面に届かず、履物の底は不浸透性でかつできる限り溝の少ない靴を履くように勧める。もちろん排泄物とは人糞、放尿、吐痰の類である。

話が少し逸れかけたが、一階に入るとガラス製の陳列ケースで商品展示している店舗が犇いている。フロアーの約三分の一は同様の店舗なのでまるでガラスのフロアーである。よく見ると周囲もガラス扉で仕切られた間口半間、奥行き一間程度の店舗が並んでいる。陳列ケースごと、ガラス扉ごとがそれぞれ別々のオーナーで、ここだけで60から70の店舗があると想像していただければいい。

正面入り口からそれらの店舗の間の狭い通路を通り抜け、二三段の段差の階段を下り奥に進むといきなり雰囲気は変わる。ここは木などで店舗が仕切られ、ゴミ捨て場のように地面にも商品が積み上げられている。そして最奥の壁際にも商店は並んでいる。

以下の簡単な説明のため正面入り口を入ってすぐのガラス陳列台のエリアを①、奥のエリアを②、周囲の壁際の店舗を③と表現し、商品特性などを紹介する。

①では大概が、玉、ヒスイ、琥珀などでできたアクセサリー、そして貴金属製の装身具が中心に売られている。建物外から入ってすぐに、かの日本でもあった貴金属のキャッチセールスで引っ張って行かれる簡易店舗のような集合群に囲まれるわけである。店員はほぼ全て女性。西洋人を中心とした観光客カップルの訪問者が目立つ。外光も入り、照明も明るく、ここまでは一般の観光客でも入りやすいのであろう。

しかしよく見るとそんな中にも真鍮や錆びた鉄製の古い蔵の鍵などを並べている店もある。ある意味脈絡の無い混在、というのが中国の文化なのかもしれない。

奥に進み、②のエリアに進む。ここで驚くのはいきなり地面いっぱいに大きな銀貨、それも中国、日本、欧米など関係なしの未整理の清朝末期ごろの数千枚の銀貨や馬蹄銀などが積み上げられていることだ。よく見るとそれぞれの店舗の区画外にははみ出していないことから、商品陳列の一方法であろう。

更に落ち着いて見渡して見ると、このような銀貨を床に並べている店舗は数店しかないが、多くは清朝頃から民国時代の金属製の骨董品を中心として並べている店舗が多い。奥の薄暗い怪しげな雰囲気の中、小さい頃読んだ金銀財宝で満たされた洞窟の奥のような雰囲気を味わえるかもしれない。

最後に③の建物フロア周囲の店舗。当然入り口はガラス扉なので中の商品は外側からでも見える。どんな物を扱っている店舗か。歩きながら外から眺めながら、目的の物がありそうなら扉を開け「ニイハオ!ウヲーカンハオマ?(こんにちわ、看てもいいですか?)」と入っていく。

これらの店は木製品、玉製品、金属製品、雑貨、その他アンティーク時計や書画絵画や仏具にいたるまで一軒一軒違うものを販売している。面積が狭く、店の主人と客二人程度が入ると立っていなければ入りきれない、そして足元まで並べられた商品を吟味できないという狭さで、自然と店内で商品選別、その後店舗前の狭い通路で品定めとなる。それでも後日紹介する他のフロアーとは違い、店舗を持たない骨董商に囲まれること無くじっくり商品を吟味できる。

以上、ざっと簡単な蔵寶楼の一階(一楼・イーロウ)の説明をした。

次回は中二階および二階の案内をしたい。

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