『中国上海・豫園商場』骨董品購入・案内紹介マル秘情報「蔵宝楼の四階・その4」⑯

・・・⑮から続く・・・

さて、ここ、蔵寶楼四階の一般的な土日の市について、購入するにはどの時間帯が一番いいのかということに触れる。

骨董の世界では掘出物という観念がある。そういう意味では人より先に掘り出し物を見つけるため、早朝、それも他人よりもできるだけ早く売り場に訪問し、いい物を先に見つけるというのが、日本でも中国でも常識のようだ。「早起きは三文の徳」というが、特にこの世界はその傾向が顕著である。

ただ、我々は中国本土に生活していない。早朝早くから争奪戦に出かけることは正しいことかもしれないが、大抵の物は日本には無い珍しい物である。焦らなくとも珍しい物はいくらでもある。

増してやここの四階の市は出店者も出店品も夥しい数で、そのブースの狭さゆえ出店者持参の商品も、半分は彼らのキャリーバッグにしまわれたままの事が多い。昼前に四階を訪れ、これといった商品を並べている出店者に「もっと無いの?」と訊くと、大抵の場合は「あるよ。」と言って、それまでに並べたことのないような物を背後から出してくる。早い時間から目くじらを立てて物色しなくても、これだけの人数の出店者がいればかなり掘り出し物は残っている。

それよりも、先に紹介した通り、「あの日本人」という印象を与える機会を日に何度か作ることの方が大切である。

毎回四階に歩いて上がり、歩いて降りるというのは日に10回もするとかなり疲れる。都度の購入品を入れるリュックと現金やパスポートなどの大切な書類等を入れるポーチの安全にも気を付けながら、人混みの中を昇降する。想像いただけると思う。しかし、昼食の時は必ず階下に降り、建物の外に出て、そして近隣の飲食店に行く。実際にはそれ以外に、リュックに荷が溢れたら友人宅に預けに行ったり、手洗い所に行ったり、飲み物を買いに行ったり、両替に行ったり・・・、とかなり動き回る。

そして、そのタイミングを色々計算したり、必要に応じて作戦として階下に降りることも多い。

どういうことかというと、あちこちで目立つように商談、大量の品を沢山買うからと、できるだけ値切っておいてそれでも買わず、「もう負けないなら別に要らないし、諦めて日本に帰る」振りをするのである。「掴み損ねたチャンスはタイミングを逃せばもう2度とやってこない。」気にさせるのである。こちらは買い手だ、決して振り向かず、別に買わなくていい・・という振りで階段に向かうと、大抵は大声で背中めがけて「OK! OK!!」と言って追いかけてくる。中国人なのにこんな時はいつも「OK OK(おーけー、おーけー)」である(笑)。そしてまた会場に戻り、一から同じ事を繰り返す。

間違って誰も追って来ない時は、ついでに階下に降り食事なり休憩なり、そして他の階で別の物を探すもよし、時間を見計らって再び四階に戻る。その繰り返しをこまめに行う。荷物を預けることのできる信用できる友人の居ない時には、時にはタクシーで一旦ホテルに荷物を置きに帰ることもある。

土日開催の二日目は居ない出店者も多い。広大な中国では地理的、時間的な都合で故郷に帰る人がいるからだ。よって付き合いが深くなった出店者とは毎回土曜日に「明日は居るか」と確認して居ない場合は土曜日の間に商談を済ませることもある。ただ、それは例外で、初めて商談する出店者には、極力土曜日に一度コンタクトを取っておいてから、二日目最終閉場の17時を狙い順々に攻めていく。最終日は午後になると片付け始める者が居る。但し、事前に交渉していると彼らは片付けずに商品を時間ぎりぎりまで並べている。

それを無視し続けていると、そして、閉場時間が迫ってくると彼らも持ち帰り荷物を軽くしたいのか、現金化したいのか、いずれにしても焦りだす。それは露(あらわ)に見てとれる。

会場の半分以上の出店者が居なくなった頃、その頃は閑散としゴミだらけの会場を見ていると「国破れて山河在り」の心境で、まさにこちらとしても戦った気分になるが、歩き回っていると(その頃にはそんな外国人のバイヤーは誰もいない。というか、中国人でもいない。)ほぼ間違いなく数人、多い時には10人以上の者に囲まれ「これ買え、あれ買え」と攻められる。

そして、その内「買ってくれ」に間違いなくなる。舞い上がっている彼らの頭の中では計算などなく、赤字覚悟の現金化という心理が目に見える。買い時がやってきたのである。勝利の時を感じる!!

・・・⑰に続く・・・

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