『中国上海・豫園商場』骨董品購入・案内紹介マル秘情報「蔵宝楼の四階・その2」⑭

・・・⑬から続く・・・

筆者はその開催日にあわせて渡中し、連日、日に何度も四階に通うのであるが、そこでは色々な地方の中国人出店者と出会う。勿論上海在住の者が多いが、毎週大連や山東省、福建省など遠方から通うものも多い。内陸部からの者はなかなか大変なのか、気合の入った珍しい物を並べる傾向があるようだ。その為、まず交渉する前にどこから来たのか訊き、労いの言葉をかけると商談がスムースに運ぶことが多い。

ただ、フロアーの様相が前述の様なので、前後左右全て周囲の出店者に交渉内容は筒抜けである。その為気が付けば暇な出店者に囲まれ、スリの被害もかなり懸念される。こっちは慣れない中国語で売り手に意を伝えることに精神を集中しており、筆談をしたとしても漢字の読める周囲の彼らには商談内容は筒抜けである。

通ううちにいくつかの戦法(?)を編み出した。そのうち一つを紹介しよう。

まず、おとなしそうで、周囲の出店者と交流のなさそうな者に話しかける。女性でも男性でもいい。勘だけが頼りだが、うるさく売りつけそうな者や歴戦のプロ骨董商は避ける。そして、その前の並んでいる物のうち、こちらが欲しい物からは目をそらし、別の物を指さし「これいくら?」と問いかける。その時の反応を見てうるさい奴かそうでない者かを改めて判断する。

「これいくら?」の後には大抵は折りたたみ椅子をすすめてくるので(もっと色々ゆっくり全部看て行けという感じで)、その後地面にしゃがみ込むか椅子を借りて他の物も値段を訊いていく。決して欲しい物を悟られない工夫が必要である。彼らは我々の目の先を追って、何が欲しいか悟ろうとしている。そこで負ければ高値で買わされるか、商談不成立になることが多い。

その頃になれば、気が付けば周囲に人垣(野次馬と称す)ができている筈なので、その時点で値が合わなければその出店者とは交渉を終了にしてもいい。何点か値段を訊き、交渉した商品と同じ種類の物(陶磁器や玉や古銅製品などの種類の事)を扱っているのを周囲で見ていたやじ馬たちは、ほぼ全ての者が急いで自ブースに帰り、同様の物を手に持ち、交渉を終えて歩き出したこちらの方に売り込みに来る。これで買い手市場になるので「なんぼや!安かったら買うたってもええで!」のスタンスになれるのである。

絶対に高ければ買わない、と拘ることもない。ああ、日本人のカモが来た(カモの方が物価10倍の地なので金持ちだ!)と思わせるため、客よせに少し高い目に購入するところなどを見せるのも手だ。

そうすればまたまた別の者が同様の物を持って売り込みに来る。その時点で、「我不要。一様的東西買了!(要らない。同じ物買った!)」と言ってやる。そう言えば悔しそうに「もっと安くするから俺の物も買ってくれ!」と懇願してくる。そして、今までの半値か三分の一、場合によっては五分の一位で慈悲をかけるふりをして買ってやる。中にはそれでも同じ値で買えと言う者が要るがそれは無視してもいい。売りたい奴らはこのフロアーには何人もいるのだ。

そして、「こいつはいくらでも買う日本人だ!」と思わせればしめたもの。あとはよく似たものをはじめ、色々な物を売りつけに来る。その中からこちらの欲しい物のみを叩きまくって買えばいいのである。勿論その頃になると彼らは舞い上がっていて、原価など関係なしに現金に目がくらみ、終いには破格の値でも懇願して売ろうとしてくる。

当方にすれば、最初の高すぎる購入価格は最後には平均購入単価が低くなるので問題なしである。

・・・⑮に続く・・・

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