『ゴウヤの雄花雌花』実のなるのは雌花・夏野菜ニガウリ

昨今、自宅に植物を植える土地もなく、プランターや土いじりも出来ない環境の方々も増えてきた。僅かに室内におかれた幾鉢かの観葉植物の成長を眺めることしか出来ないという現実も地域によっては普通の事になってしまっている。ましてやそんな環境下で育ち大きくなった世代の小学校教員も現実に居り、彼らの中には植物を育てるという事どころか、昔の人なら誰でもが普通に知っていた様な常識、つまり日々口にする野菜の育て方や特性について全く無知で、子供に教えることを敢えて避けている者もいると聞く。スーパーで並べられた野菜しか買った事がないのでは仕方ない事であろう。

さて、戦後しばらくは内地の青果店には並んだことのないゴーヤ。今では物流や色のグローバル化が進み、夏場には沖縄以外でも全国どこのスーパーでも余るほど売られている。チャンプルー、天ぷら、炒め物、和え物、サラダ、湯がいてそのままポン酢で・・・と、その独特の深い苦味を上手く利用すればかなりの食べ方がある。内地でも食べるだけではなく、植栽として、観賞用や、自宅の周囲にネットを張り蔓を絡ませ葉を茂らせて日除けのため育てている方もいるようだ。利用価値の高い作物である。

この、ゴーヤ。一旦植えれば花付きも良く、手間をかけずとも実がなり、受粉後も見る見るうちに成長、蔓性の為か強風下等にも滅多に落果することなく、最盛期には結実に気が付いてから数日で、一人では食い切れないくらいの収穫ができる、野菜としては優等生の部類であろう。気が付けば実がなっていたという事のしばしばある作物である。

雌雄異株ではなく、同じ木に雄花と雌花が咲き、虫媒により受粉、雌花の方が結実する。よって雌花が多い方が収穫率がいい。観察してみると、雄花のほうが圧倒的に多いことが分かる。潅水の回数や気温や日射の状況、それに施肥の多少により調整してみてもある程度は雄花雌花の数の比率は変わるようだが、それでも基本的に雌花の数は雄花のそれに比べて五分の一から十分の一のようである。またそれに加えて、一見し同じ黄色い小さな花ゆえ、見分けが付かない方もいるようだ。いずれにしても雌花が咲かないと実の収獲は一切望めない事は明白である。

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雄花・雄蕊部分が黄色い

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雌花・雌蕊部分が綺麗な薄緑色

雄花と雌花。慣れてくれば、一見して違いが分かる。花の中心部の雄蕊、雌蕊の色合いが違う。黄色い花弁の中心部に僅かに突き出た雄蕊は花弁とほぼ同じ黄色(少し濃い山吹色)。雌花の雌蕊は透き通るような薄緑色。比べてみると一見して判るが、一度も見たことがない方には片方だけ見ても判別できないかもしれない。その場合は、花弁の裏側、ガクの根元、つまり花に至る柄の部分を観察すれば一目瞭然である。雌花のそれは花柄自体が驚くほど可愛いい可愛いいゴウヤの形をしている。ゴウヤの赤ちゃんは既につぼみの時点からゴウヤの実であり、頑張って成長しているのである。この後受粉し、その瞬間から更なる成長を遂げ、数日後には立派なゴウヤ青年になっているわけだ。

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開花中の雌花・横から見たところ

大きくなり始めたら、実が茂った葉の陰に隠れていてその存在に気が付かず、熟し始めて黄色に変色しはじめた頃に気が付き、その時点で慌てて収獲してもすぐに冷蔵庫の中で破裂してしまう・・という事も良くある。よって、花が開花したその日のうちに、雌花の存在する場所を把握しておくという事が大切である。それぞれの花の開花は、雄花も雌花も殆どが一日限りのことであるので、一度でも栽培された方には必ず経験のあることであろう。心なしか、そうすれば第二第三の雌花が付くことも多い様な気がする。植物にとっては、良く観察し良く話しかけ良く愛情を注ぐという事がやはり基本であると考える。

より良き栽培方法や収穫適期、その後の調理方法、そして少雨豪雨などの天候の変化による管理方法の注意点はここでは触れず他に譲るとして、今回は簡単な雄花雌花の見分け方についてのみ紹介した。プランターや鉢でもいい。栽培されたことのない方には、一度でいいから工夫して口に入れる食べ物を栽培してみることをお勧めする。雑食動物としての人間として必要なことだと考えている。

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