『雑草との格闘』春から秋・田舎暮らし・スギナ・ドクダミ・アザミ・エノコログサ・カラスノエンドウ

仕事の関係でしばしば家を空けるようになった。行商仕事に変えたからだ。

時間とともに、待ってくれないことは多々ある。季節の移ろいにつれた雑草の繁茂。

寒さ厳しい季節が終わり、ツクシやシダ類などの山野草など食べれるものばかりではなく、その生え始めは可愛いと思っていた植物など、殆どが少しの間ほって置くと大変なことになる。

除草剤なるものもあるが、食す物が生える庭には使いたくない。ニラ、ミツバ、シソ等々、薬のかかったものが早春から生える庭では、こまめな手によるところの除草が必要だ。

しかし、仕事で月一回くらいしか帰らず、帰っても時間が限られた中、することは除草や剪定だけになる。

刈払機による草刈りは効率はよいが、晩春から秋に至る期間は追いつかない。これは外出せず常時棲んでいても、無職で自由な暇がない限りは同じこと。休日だけでは追いつかない。

ニラは早い時期から生え、シソなどは遅くに発芽する。その間に、カラスノエンドウやハエトリグサやタンポポ、アザミ、イネ科の植物などが必ず生える。それらの知識がないと、刈払機では食材になる物も、大きく育った雑草の下にいて一緒に刈ってしまう事になる。

とは言え、毎年いつの間にやら調整がつかなくなり、やはり一緒に刈ってしまう。その量と成長の急加速に追いつかなくなるのである。もうどうでもいいわ、という気になるのだ。

大雑把に言うと、春は月一回、夏場になるにしたがって月二回でも追いつかなくなり、6月以降は草の実が衣服にくっつく面倒な雑草も増えてきて、秋にはその間に成長した虫たちや小動物とも格闘しながらの作業になる。

侮るなかれ、田舎暮らし。その自然の速度の速さ。

行商の合間を縫って、一昨日帰宅した。1ヶ月ぶり。取り返しがつかぬとはこういうことだ。まず、ガレージに車が入らない。深夜にガレージ前の草を踏み倒すため何度も前後進を繰り返しハンドルを切る。

次にシャッターを開け車を入れ、その際もクモの巣を払いながら玄関に向かう。しかし、草の背丈が高くて向こうの方が見えない。

思案の果て、深夜だったこともあり自宅ガレージで車中泊。幸い車の荷物は自宅ガレージなので降ろせるので、夏場の特権、そのままキャンプ気分を味わった。

翌日目覚め時間を期して、玄関までの約15メートルをラッセル車のごとく一本の棒を頼りに進む。鍵を開けて、まずは通路の確保だ。

草の生い茂った庭全体を眺め、刈る順序を決める。こうなればニラもミツバもシソもない。ガレージに戻り、これも前が草だらけの納屋から刈払機と混合ガソリンを持ち出す。ついでにヘッジトリマーも・・・。

ガソリンを入れてチョークを引き、エンジンをかける。すぐ始動。しかし、前進したところ背の高いキク科の雑草は手で抜かないと後で困ることに気がつく。

エンジンを止め、今度は軍手をはめて草むらに再度突進。背丈より高いこれらを一本一本抜いて進む。これをしておかないと、根は浅いがすぐ脇芽が成長するので、次回草刈の時、というより冬の到来でそれらの成長が止まる時季まで大きな苦労をするのは経験済みで解り切っている。

結局この日はその作業だけで終わった。

翌日、ラッセル車よろしく驀進。ところが、草が多すぎて刈った草が倒れるとその部分の草刈ができない。重いのである。少し刈っては倒れた草を横に除け、そして少し貯めては一箇所にまとめて山にする。山は何箇所にもなったが、週一くらいで草刈を行っていれば一日で終わる作業も3日がかりになった。

仕上げは、ヘッジトリマーを庭木に使うのではなく、建物際やどうしても刈りたくない植物の周囲の地表をなぜる様に刈る。それで綺麗になったように見えるが、翌日になると刈り残した草が自力で立ち上がってくるのでそれは再度手で引き抜く。

庭なので、育てている果樹の苗などもある。反対に毎年エリアを広げてくる笹や竹科の物もある。そしてすべての庭木が大きく毎年成長していく。田舎暮らしや庭の管理などはしてみないと大変さがわからない。都会出身者の、試行錯誤の必要な弱みである。

草を放置すると、家の床下や、アスファルト舗装の部分にまで進出する。コンクリートの部分は割って草が生えてくる。昆虫が生まれ、それを喰う小動物が現れ、それこそその小動物を捕らえる動物たちも寄ってくる。

動物といっても、小鳥や猫などだけではない。しまいには狸やハクビシン、そして大きな蛇やマムシなども・・・。よって、少なくとも玄関先や家の周囲だけはいつも何も無いようにしておかなければいけない。

信州に来た頃、よく、「夏場は草との格闘だ」と聴いた。つくづく今、実感としてそう思う。

都会者が定年退職後の田舎暮らしを夢見ても、慣れた頃に寿命が来る。考えておられる方がいたら是非是非脱サラし、早めに実行に移すことをお勧めしたい。

(以下写真は全て昨年5月、成長途上のもの。梅雨に入るとこれが一気に成長する。そして背丈に達し、花が咲き、綿の様な種子が飛び始める季節の到来だ。)

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