飯田市市街地から153号線を南下し10分あまり、JR伊那八幡駅の表示のある交差点を通過、次の信号を右に入ると正面に鳥居が見える。
南側に駐車場があるのでそこに車を置き、鳥居をくぐる。周囲はうだつの施された立派な旧家などが残り、門前町の風情も感じられる。一礼し、鳥居をくぐって境内の参道の先の石段を登ると随身門が。門をくぐりさらに石段を登ったところに拝殿がある。その奥が本殿である。高低差はかなりあるが神苑として相応しい荘厳さあふれる神社である。
寺社、特に神社の多い信州において、また古刹と衆が認める歴史ある神社が多い飯田市内の中でも、この神社の紅葉は群を抜くといっても過言ではない。
境内には神池やいくつかの参道、それに滝やいくつもの殿社が並び、杉や雑木の大木と一体感をなしている。御神体の納まる本殿をはじめとして、多くの建物などが国や市の重要文化財として鎮まっている。
九月第二土曜、この神社の秋祭り、『御輿・きおい』はこの地区でも一二の人出があり、産地ならではの打ち上げ花火の元、数多くの御輿が宮入りする。人出、荘厳さ、花火の音響と光、そして御輿と、観光客でなくとも毎年感動する祭りである。
そんな鳩ヶ峰八幡宮の別の顔。それが秋の紅葉夜間ライトアップである。10月の20日前後でライトアップは終了するが、日中に参拝してもその美しさには目を見張るものがある。
真っ赤な紅葉や楓、銀杏などの真黄に色づく広葉樹と、色あせず深い緑を呈した針葉樹の調和が素晴らしい。特に人工物であるその古い建物の存在と驚くほど真紅な紅葉の大木との対照は国道沿いからでは気がつかず、実際境内に入った者でなければ味わえない。
百聞は一見にしかずとはこのこと。へぼい庵主の文章ではツッパリにもならず、末尾に少し写真を載せる。ご覧いただき、ご興味をもたれた方は是非訪問していただきたい。南信州お勧めの一箇所である。