●不思議な車輪●荷車・大八車・リアカー・ローマ時代の戦車?

先日友人の実家の引越しに立ち会った。

一階のテラス部分にガラステーブルがあった。

ガラステーブルというより、円形のガラスを載せた、車輪のような物を改造したテーブルであった。

当初、西洋アンティーク店でたまに見かけるような「船の舵」を使ったテーブルかと思っていた。手をかける為、外に突き出た部分がないので「船の舵」でないことは直ぐに判断できた。

直径は1メートル程度のその硝子板は厚み1センチくらいある、かなり重くて頑丈な物だった。

総重量はおそらく50kg位あるそのテーブルは、転居先には不向きだと処分されることになった。

硝子板は重いが持ち上げればそのまま外せ、その下の車輪のような物の中心を支えている「脚」の部分は苦労して抜き取った。

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そして、考え込んだ。「これ一体、何の車輪?」「楔のような物がかなり沢山打ちこんである・・・。」「しかし、後でネット検索すれば簡単に判明し、一つ知識が増えるのは間違いない。」そう思った。

さてさて、帰宅後、夜になり落ち着いていろいろ調べてみた。

大八車の車輪は周囲がこんなに分厚くない。さて、では馬車は?いや、外側に嵌めてある鉄製の輪っかはセンター部分が「Uの字」型に凹んでいる・・・。レールの上でも走ったか?そうなれば鉄道馬車か。しかし鉄道馬車の車輪もこんなに厚い物は見たことがない。かなり古びているが、祇園祭などで見るような大きな屋台や鉾の車輪にも似ている。しかしこれも金属の輪っかは嵌ってなさそうだ。まさか、あの映画「ベンハー」に出てくる古代の戦車の車輪か・・・。そんなはずはない。では一体何なのだろう・・・。

結局、結論は出仕舞いだった。

翌日、産廃業者が引き取りに来るその前に再度詳細な写真を撮っておこうと出かけたが、もう既に引き取られていった後であった。祭りの鉾の車輪だとすれば、「文字通り『後の祭』だな」、とか、子供のような他愛もないことを考えていた。

古道具を扱い始めそんなに長くはない。しかし、この道はなんと奥深いのだろう。人類が考え、作り、そして使う物の形状や造りには全てそれなりの理由があり工夫もあるし、必ず結論も出るはずである。

亡くなった友人の父親、即ちこの「車輪のような物で作られたテーブルの購入者」は決してそこらあたりのガラクタを珍重するような人ではなく、よく物を知っている方であった。

これから先、いずれこの車輪のような物の正体が判る時が来るであろう。

その時には自身が一番驚くかもしれない。

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