■上海・偽物の水・飲んでも命に別状ないだろうが・・・■贋作天国・中国露店・世界の常識・

数年前のことだが、中国経済トップを走る上海市街でのことだ。

初夏の昼過ぎ、喉が渇いたので市中いたる所の定位置によくある露店で、それも行商ではなく、いつも同じ建物の一階の道路に面した場所にて営業する飲料水を中心に販売する店でペットボトルの茶を注文した。

紙幣を差し出すと、店の夫婦は手際よく、ご主人が上海語で指示すると少し離れた場所にいた奥さんが即座につり銭と商品を渡してきた。

代金はいくらか尋ねて、3元(日本円で約45円)と言ったので、『少し高いな、観光地の一角なので仕方ないか・・・。普通は2元5角なのに・・。』と一瞬値切ることも頭によぎったが、喉も渇いており早く飲みたい一心からすぐに代金を渡そうとした。

すると、当時毎回通訳を頼んでいた上海人の若い女性が店の主人に何か言って奥の方を指差した。その瞬間売店の奥さんは少し怪訝な顔をして商品を引っ込め、別の棚から別のペットボトルを取り出し差し出してきた。

さてはよく冷えてる物と交換するよう言ってくれたのかと思い、店を離れた瞬間、『何を言った?』と尋ねた。

詳細はこうであった。通訳曰く、「一流メーカーの商品でなければ偽物を売っている可能性がある。」「康師傳(天津本社の巨大食品メーカー)の物に替えてくれ。」「なければサントリー。」

要は市中の、それも観光地や露店で販売されている物には飲料水だけではなく煙草やアルコール飲料に至るまでパッケージラベルの印刷機や封入機を個人で備え、彼らが作っている偽物を販売している可能性があると言うのだ。

そう言えば、中国政府の統計調査で出荷されている飲料水の、それこそ約3倍の量の飲料水が市中に出回っていて、出荷量と消費量のデータとの整合性がとれない、というデータも見ている。純粋に納得できた。

あな恐ろしや偽物天国。しかし、それを信じられないという日本国民の頭の固さ。他の東南アジアの国でも、大きい小さいの差はあれど、生きていくことに貪欲な発展途上国においては同じ状況を、筆者も実際に何回も体験してきたではないか。

海外に出ればすべて自己責任だ。で、騙されるほうが悪いと危機管理しなければいけない。そこにはその国の習慣や常識と、法律を運用するシステムがきちんとあり、日本の常識を盾にとってもそれは通用しないことぐらい解っているはずなのだが・・・。

ちなみに、「康師傳」は日本で言えば日清食品や東洋水産などの巨大食品メーカーと同じで、当の日清食品とも提携している安心安全の、中国本土を席巻する巨大企業である。中国に行けばどこにでもその製品はある。そのうち「康師傳」の偽物も出るかもしれないが、本物なら安心して購入できる。

以前、他の項で紹介したかもしれないが、銀行で替える紙幣ですら偽物が混入している危険もあるというお国柄。現在の国家主席の方針がかなりそれらを払拭してきていると言われているが、そこは巨大国家。なかなか隅々まで徹底されることは時間もかかるであろう。

最後に余談であるが、軟水である日本の水に慣れたDNAの持ち主である我が日本民族が、硬水中心の大陸で、油を使った料理と共に大食いすると必ず消化不良もしくは下痢を起こす。それは飲んだ飲料水が本物か偽物かということには因を発しない。体質の処理能力の問題である。

以上

(アイキャッチ画像の写真は本稿とは関係なく、大阪のとある場所の自販機の商品の写真です。)

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