10月20日。春季礼大祭に続き、今回も秋季の大祭に参列した。
晴れわたった春季とは違い、南海方面から来襲予定の台風の影響か、この時期珍しく長期の雨の中の催行であった。
遺族団体、慰霊団体、想いの深い府下の個人の方々等、生憎の雨天にもかかわらず、神社ご準備のテントの下の約700の椅子席はほぼ埋まった。
府下最大の大鳥居が聳える神苑の奥に鎮座する本殿。午前10時、君が代合唱の後、宮司を先頭に昇殿した神職により、神事が進行。
時折強く、また一瞬小降りになる秋雨の元、神苑に張り尽された大テントの端々には大量の水が溜まる。その都度ボランティアの係員が水を落とす。
その水の音にも負けず、降雨は続く。
宮司による祝詞奏上の次第に。始まった瞬間、気のせいか、雨量は少なくなり、テント内から見ていても天空は明るくなり、気がつけば本殿の屋根には陽光が射している。
次の瞬間、緑鮮やかな銅板葺の大屋根から大量の湯気が立ち上っているのに気が付く。昇殿されている団体代表の方々には見えない筈だが、おそらくテントの隙間に座している我々には皆その神々しい光景が目に焼きついたことであろう。
不思議にも、祝詞終了とともにその湯気は消えた。短時間射した陽光も再び雨雲に隠れたのであろう。
何という素晴らしい降臨か。明らかに英霊の御霊が我々の元に姿を現されたのであろう。参列者一同、胸に秘めながらも感動されたに違いない。
その後、団体代表による玉串拝礼や鈴の舞い、扇の舞い等の奉納のあと、最後に宮司による挨拶の言葉で式典は無事終了した。
宮司の言葉にもあったように、家族や大切な人を想い、地域や国の永劫の存続や繁栄を願い、若くして個人の志半ばに殉国の士となられた英霊たちに、忘れることなく感謝と慰霊の念を伝え続けることが、平和で豊かで自由な現在の祖国に住む我々の義務であるということを伝え続けたいと再認識した。
戦友の慰霊のため、遺族として祖父の慰霊のため、語り部として当時の状況を伝え続けて来た人たちが少なくなる中、我々戦争を知らない世代にも、戦没者を含めた彼らの想いと功績を伝え続けることが難しくなる中、奮起が求められると感じている。
今回の祭事催行中唯一の一瞬の晴れ間、そこに降臨された英霊の御霊に、強くそのご意思とお声を感じることができた。
不思議なことに事欠かないこの世ではあるが、久々に確信の持てる体験ができた。
拝礼 合掌