先日、大阪市天王寺区の某神社参道にて開催された露店骨董市に出店した時の事。
以前から知る、その道ではちょっとした目の利く日刀保役員の方が来店。
「預かり物だが、値が合えばこれとこれ、購入してあげてくれませんか?」
「それなら持参された他の物と一緒で一括でいくらいくらで・・。これ以上では買えませんが申し訳なく・・・。」
「う~ん。ちょっと確認してきますね。」と電話で確認している。
で、「了解いただけましたので、ではそのお値段で・・・。」
という事で、法令通り現地買取の身分確認や記録を取って購入。
そのうちの一つが立派な平安城(山城の国)の鉄鍔。室町末期から江戸初期の物である。なかなか立派だが、彼の顔を立てて少し高値、自身の売りの価格に近い金額で買い取る。
帰宅後、改めて相場確認の為ネット確認。
色々な平安城の鍔の画像を見ていくうちに、何やらおかしい画像が目に付いた。
そう、今手元にある物と全く同じ物の画像を見つけたのである。
検索をしていくと、それは二週間前に誰かがヤフオクで落札した時の物である。
という事は、これは、その落札した誰かが何らかの理由で不要になり、その道の目の肥えた友人に依頼して本日筆者の手元に来たという事???
入手後二週間も経たず他人を介して売りに来る。なんかやばい商品なのか?
買い取った鍔をよく確認。真贋は間違いないと思うがやはり不安。
以前にもよく似たことがあった。逆の立場でだが・・。
それは筆者が中国上海で仕入れた焼き物を買った人から「ヤフオクでよく似たものが出品されている。」と連絡を頂き、確認したところ紛れもなく筆者が数日前に発送した物だった。
頭が混乱したが、よくよく考えてみると、現物は確かに筆者が落札者に送った。という事は、「今オークションにかけられている商品は以前の写真を使った詐欺(現物の商品もないのに売りに出している)。」
出品者は中国人のようだ。「このオークション、落札者が居たら一体どうするのだろう?出品者は筆者の仕入れ先か?いや、彼はそんなことをするような人物でもないし、何よりネットでヤフオク出品などできない筈である(スマホもまだない時代だったしパソコン操作ができない。)。」
結局その件も迷宮入りであった。今回も調べれば繋がるのかも知れないが、おそらく迷宮入りになるのだろう。
商品が文化財としてぐるぐる回るこの世界。不思議な、そして、何かが思考によぎる気持ちの悪いような世界である。