仲のいい骨董市出店業者から大変な物を見せて頂いた。
『元禄大判金』である。元禄大判金は江戸幕府の大判金では慶長大判金に次ぐもので、発行枚数は三万数千枚と決して少ないとは言えないが、その品位故、時代を下るにつれ鋳潰しされ、現存数はかなり少なく、今では時価数千万円というような希少価値の高い物である。
なんでも、亡くなった方の家の片付けで出てきた桐箱入りの物で、〇×万円で引き取ったそうである。全く清水の舞台から飛び降りるような引き取り額であるが、金銀等の含有率や重さ、大きさはほぼ全く真正品と同じ量目で、その姿や文字の色合い等もよく古色が出ており、あとは刻印等の見極めが必要なところかという段階である。
刻印については、真正品と並べて比べれば問題はないが、その真正品というのがそうそこいらにざらにあるものではない。真正品探しが困難なこの手の物の真贋の判断は骨が折れるが、今、造幣局や大手貨幣商のどこからあたるか思案中である。変に動くと、狙われたり騙されたり、思惑がらみになるのは見えている。
一つ一つが手作りの物ゆえ、希望的観測は入れずしっかりと見極めていく必要があると考えている。
いずれにしろ、なかなかお目にかかれない物ゆえ、この場で披露させていただいた。