神戸護国神社出店仲間から情報を聞き、四国、徳島市内の中心部問屋町の徳島繊維卸団地で毎週開催される「徳島びっくり日曜市」に初出店してきた。
折に触れ、骨董やリサイクル品を関東や関西の神社や骨董市で並べている庵主も、ここの市には脱帽の「びっくり」市であった。
その驚きは、一言で言うと何でも有りの様相を呈していた事である。
1.出店者数がかなり多いこと。開催日によって異なるとはいえ、約300店もの出店業者がいる。
2.天候にかかわりなく、毎週日曜日、決まって開催される。
3.出店登録に際し、煩雑な手続きや審査もなく、事務局への電話で登録、現金書留にて送金で着金次第出店場所が決定。
4.四国地方のみならず関西方面からも多くの常連業者が出店している。
5.終了時刻の目安はあるが、開始時刻は朝7時までに商品搬入、並べ次第販売可能。鮮魚や青果を扱う店には、まだ暗い時間帯にもお客が殺到している。
6.出店物が多岐にわたる。前述の青果、鮮魚はもとより、骨董、リサイクル品、工具、花卉、盆栽、生き物、食品、飲食、その他ありとあらゆる商品があり、それぞれの出店者で所管官庁に届出さえしていればすべて自己責任で出店できる。
7.テント良し、机良し、シートに直置き良し、揚げ物や焼き物の為の火気の使用良し、たこ焼きやクレープなどの車上販売良し。
ざっと上記のように何でもありで、そのおかげで野菜を買いにきた人が肉や魚、古着や骨董をついでに見て、終いには正月飾りも買い求めていく。もちろん腹が空けば行列に並び暖かい物でも購入し食べられるし、来訪者の駐車場もかなり広いので車との間を往復すれば大量の商品も購入できる。
一つ、すぐにその場で食べられる食品だけを挙げてみても、たこ焼き、キャベ焼き、寿司、おむすび、弁当、刺身、ジュース、チヂミ、揚げたての天麩羅やフライ物、さつま揚げ等々、特に変わったものとしてはクレープやケバブまで出店されている。幸いに我が前面のブースはキャベ焼き屋と揚げ物屋であったので、早朝から閉店までの間、遠くに行かず暖かい物を食べることができた。
また、生き物、特に動物に至っては、金魚や鯉やメダカに始まり、亀や蝦や蟹、鶏やウサギまで生きたものが売られていて、その周囲の業者の商品とのアンバランスが驚きであった。
出店中、商品管理や顧客対応が絶えず、手洗い時以外は遠くにも行けなかったので全容の3割程度しか視察できなかったが、じっくり見ればまだまだ驚きの商品もあると思われる。次回出店時こそ更に興味深く視察をしてみたいと思う。
今回、庵主が持ち込んだのは信州飯田産サンフジりんごとカリン、それにいつもの骨董品。四国人には花梨(カリン)は珍しかったのか、「レモン?」とか「何ていう果物?」という質問が多かった。質問者の中には「どうやって食べるのか?」「生でも食えるのか?」という質問も多く、信州と四国の地方差を如実に感じさせられた。生では食えない果実と分かると殆どの質問者は購入せずに立ち去ったが、逆にその場で家人に電話し「珍しいものだから大量に買って来い。」と言われたのか、10㎏余り購入して頂いたお客もいた。
りんごやカリンと、骨董品のコラボはなかなか自身でも違和感があったが、古伊万里や九谷、そして中国の紛彩磁器、文化大革命時の毛沢東関連グッズ、懐中時計に装身具や玉、勲章や軍隊物に古銭といった脈絡のない骨董商品についてと同様、来場者には別に違和感は無かったのかもしれない。
時間の経過とともに少し並べだした骨董品には、それなりの知識豊富なマニアの方もすぐに寄り付き、薀蓄を並べる者、丁寧に教えてくれる方、またそれらの人々についての個人情報を伝えてくれる人等、かなりの骨董マニアも毎週来ている市であることが感じられた。
出店料も安く、人出も多く、車横付けという条件も申し分ないが、庵主には瀬戸内海を渡って参加するという経費(交通費)の問題だけがネックである。しかし、ここの市は他の骨董市とは違い、何やら胡散臭い骨董業者ばかりの集まる関西や関東の骨董専門の市より過ごし易く、多岐にわたる商品のマーケティングができるこの市への継続参加は非常にそそられるものがある。
最後に、運営スタッフやお客の人柄について述べたい。初めての四国出店であったが、人情の関西、白黒の関東というような表現をしてみるとすれば、ここ徳島びっくり日曜市の雰囲気は、「暖かく、気さくで、話しやすい」人柄の人が多い市と感じられた。今後だんだん解っていくことではあろうが、今のところ全てがびっくり、気持ちの良い風土の中での市であった。
次回、日時は未定だが、年明け1月のどこかで再度参加したく、次回分の出店料だけは前納してきた。読者各位も機会があれば是非是非一日楽しめる市なので、まだの方は訪問してみられることをお勧めする。